
今回はヘッドハンティングを転職活動に役立てる方法を共有します。ヘッドハンティングは管理職や経営層の方の転職方法だと思われがちですが、実際はヘッドハンターは20代前半の社会人経験3年程度の方もスカウト対象とする場合がよくあります。
この記事は私の経験に基づく情報の為、ヘッドハンティング企業やヘッドハンターによりその基準や手法は様々ですが、今回の記事が少しでも転職に役立てば幸いです。
ヘッドハンティングについて

そもそもヘッドハンティングとは!?
ヘッドハンティングとは、ヘッドハンターが担当するクライアント企業が持つポジションに合致する優秀な人材を、そのクライアント企業に代わって見つけ出し、候補者の入社に繋げる人材発掘の代行サービスのことです。ヘッドハンターはクライアント企業から成功報酬をもらうことでサービスは成り立っています。
ちなみにヘッドハンティング企業とクライアント企業間には、おおきく【2つのサービス契約】があります。
- 通常のケース:クライアント企業との契約時点では契約書の締結のみで、成功した場合に成功報酬をもらう。複数のヘッドハンティング企業がそのクライアント企業と働いています。
- リテインサーチ:クライアント企業と独占契約をして、その時点で着手金をもらい、成功した際に更に報酬が入る。ヘッドハンターは集中してそのポジションのサーチをすることになります。
ヘッドハンティング会社には2種類ある!?
ヘッドハンティング企業にも【2つの違い】があります。
①エグゼクティブサーチ会社:
転職希望者からの自発的な登録窓口を作っておらず、ヘッドハンターが自ら、クライアント企業の求める人材を自身のネットワークやコネも活かして探してアプローチをかけていく仕組みを取る会社です。この場合、潜在的な候補者をサーチ対象とするケースが多く、優秀な管理職や経営層の転職には頻繁に使用されます。またトップ層を対象としているケースが多いことから、特定の分野に長け、コミュニケーション力が高い経験豊富なヘッドハンターが多い印象があります。(というのも、このタイプの企業に勤めるヘッドハンターの年収はインセンティブで大きく変動する為、経験値が高くないと生き残れない場合があるからです…笑)
②登録型ヘッドハンティング会社:
広告費をかけて転職志望者に自社プラットフォーム上への登録を促し、ヘッドハンターがクライアント企業のニーズに合致する人材を探す仕組みです。この場合、ヘッドハンターは登録してきた候補者に対して、求人の紹介からクローズまでのサポートを行います。この場合、転職に前向きな多くの候補者を対応する為、候補者との面談やポジションへのピッチからアプライ代行作業など、迅速かつ間違いなく行える高い事務遂行能力とコミュニケーション両方が必要となります。
スカウトの基準とは!?
先にも述べた通り、ヘッドハンティングは経営層や管理職だけではなく、20代の管理職以下の方も対象となります。下記のポイントをおさえていればスカウトされる可能性は沢山あります。
スカウトされやすいプロフィール

- 大学卒
⇒かつ博士号やMBAを持っているとプラス
- ビジネスレベルの英語力がある
⇒日本市場での転職にはTOEICの点数が英語スキルの基準となる場合が非常に多い。また外資系企業の英語スキルを有するポジションへの転職の場合、海外留学経験や点数よりも、英語の面接を突破できるかで判断される場合が多い。
- ある特定分野で経験を積んでいる
⇒(例)IT企業でソフトウェア製品のB to Bマーケティングを行ってきて、その後ITコンサルティング分野のフィールドマーケティングポジションに転職
- 転職回数が2から5回くらい
⇒年齢や職種にもよるが、40代や50代の方であれば2回~5回くらいが理想
- 東京勤務が可能
⇒案件数が圧倒的に多く、地方勤務や海外勤務希望者の場合は案件数も少ないとどうしてもスカウトの対象になりずらい
スカウトされにくいプロフィール

- 高卒
⇒多くのポジションにおいて書類選考の時点で不利なため
- 過去3年以内に転職をしている
⇒入社してもまた転職する懸念があると思われる
- 現職の勤務期間が2年未満
⇒スカウト以前に、転職に意欲的ではないと印象付けられる
- 同じ企業に20~30年勤めている/過去に転職したことがない
⇒新しい環境に順応しにくい印象を持たれる
- 部署を移動し役職が変化している
⇒(例)過去何十年も現場の経験を経て、数年前に人事部に移動し、人事として転職したい管理職候補者の場合→ポテンシャルは十分高いが、人事としての経験が浅く、更に管理職であるため給与が高い。その場合、職位と給与を落としての転職は可能な場合がある。
- グローバル担当歴が多い
⇒(例)日本のオフィスでグローバル人事の経験が長い場合→グローバル人事としての転職は有利だが、日本の社内人事としての転職には有利にならない。日本市場での経験が求められるケースが多いため。
- フリーランス
⇒求人にもよるが、フリーランスは仕事案件の規模がマッチしていない、または企業への適応ができないのではないかと印象付けられることがある
ヘッドハンターのスカウト手法とは!?

ヘッドハンターが使用するスカウトの手法は人それぞれですが、ここでは代表的な手法をいくつか紹介します。
1. 展示会やセミナーなどのイベント
⇒その場で名刺をもらって、後に電話やメールでアプローチをかけるケース。この場合は効率があまりよくないため、ヘッドハンターでもほんの一部しか実施しない稀なケースとなります。
2. 候補者からの推薦
⇒実際に他の候補者からの推薦というのはかなりレアなケースです。歴の長いヘッドハンターがコネを活かしてトップ層をスカウトする場合もありますが、もしいきなり連絡してきたヘッドハンターが『守秘義務で紹介者のお名前をお伝え出来ないが、実はあなたの名前を推薦されて…』と言われたら、それは単に興味を引く為のトリックの可能性も高いです。
3. CRM
⇒各々ヘッドハンティング企業には、候補者のデータを管理している情報システムがあります。候補者のレジュメや過去のコンタクト履歴などが一覧できる仕組みとなっており、外部からはアクセスできないように厳密に管理されています。一度情報が登録されれば、再度ヘッドハンティングされる機会が増えます。
4. 企業HP
⇒HPには経営層の名前だけでなく、場合によっては優秀な社員のインタビュー記事や担当者一覧として名前と部署付きで情報が掲載されていることがよくあります。そういった方はスカウトの対象となる可能性がとても高いです。
5. Zoom infoやEightなどビジネス用登録サイト
⇒ビジネス使用目的でZoomやEightに情報を登録している場合、名前や企業と部署だけでなく、会社の個人メールアドレスや会社の個人番号を見れるケースがよくあります。この場合、会社の番号やメールアドレスにスカウトメールが突然送られててきます。潜在的な候補者を探すのに使用されます。
6. LinkedIn
⇒世界的に最も利用されているヘッドハンティング方法といえばLinkedInからのスカウトです。リクルーター専用機能を活用すれば、転職活動中のプロフィールを一覧できたり、様々なキーワードからの検索や、絞り込み検索が可能となっています。リクルーター機能は有料ですが、通常の利用は完全無料です。また、多くの大手企業はLinkedInにもJD(募集要項)を掲載しており、そこからアプライをできるケースや、自身で企業へアプライする際にも、LinkedInプロフィールを参考資料のひとつとして選考に活用されるケースもあるので、プロフィール作成は必須です。
7. FacebookなどのSNS
⇒勤め先や経歴をしっかりと記入していれば、ヘッドハンティングされる機会もあるかもしれませんが、効率が悪い為、ビジネス用SNSであるLinkedInと比較するとFacebookなどを中心にサーチをしているヘッドハンターは圧倒的少ないと思います。どちらかというと、すでに名前があがっている候補者を検索に掛けた際にFacebookページがヒットし、そこからメッセージを送る、または人物を特定するのには使用されたりもします。
8. BIZREACH
⇒ハイクラス転職に特化した、日本最大のヘッドハンティング型転職サイト。このサービスを利用できるヘッドハンターは実績がなければ登録できず、また候補者側も全てのサービスを利用するためには有料会員となる必要性があります。その為、ヘッドハンター側からすると、お金を払ってまで利用する会員は転職の意欲が高いとみなすので、ビズリーチに特化してスカウトを行うヘッドハンターもとても多いです。
9. Recruit Direct
⇒Bizreach同様、数多くのヘッドハンターや社内リクルーターが利用しているプラットフォームのひとつです。候補者は無料で利用できるので手軽に始められます。ヘッドハンター側は候補者の名前や住所、電話番号以外の、登録されている経歴やスキルが確認でき、候補者がメッセージを承認後、ヘッドハンターはその方の個人情報を閲覧することができる仕組みとなっています。
ヘッドハンターは上手く使うべし!

転職活動でオススメしたいことは、まず無料で利用可能なLinkedInプロフィールを作成し、転職に関心があることを採用担当者に知らせる【Open To Work】機能を有効にしておくことです。
かつ転職サイトにおいては、独占の案件も含めて情報収集をする為、ヘッドハンターや人材コンサルタントの相性を比べる為にも、1社ではなく複数サイトを同時に利用することをオススメします。そしていざスカウトが来たら、一度話を聞いてみるのも良いと思います。
以下、ヘッドハンターからスカウトがあった際に、話を聞くことの具体的なメリットとデメリットを紹介します。※ヘッドハンティング企業や担当者によってサービス内容は異なります。
話を聞くことのメリット

- 受動的に情報が手に入る
⇒『スカウトされる=既に何かしら案件を持っている』場合がほとんど
- 完全無料
⇒もしも有料のレジュメ添削や、有料のセミナー受講に誘導されたら、怪しいと思った方が良いと思います。
- 転職関連アドバイスがもらえる
⇒案件に関する紹介だけではなく、転職市場の動きや将来のキャリア形成に関するアドバイスなど、疑問点は何でも聞いてOKです。
- 自分の市場価値を確認できる
- ヘッドハンターから紹介された候補者が選考に有利になる場合がある
⇒ヘッドハンターからクライアント企業へ候補者を紹介する時点で、既にその候補者は精査されているため。
- 無料でレジュメの添削をしてくれる
⇒一般的に英文レジュメの添削や作成を個人に依頼すると、5000円~1万円が相場です。
- インタビュー対策
⇒クライアント企業の詳細・聞かれる傾向のある質問・面接官のプロフィール・するべき質問リストなど、クライアント企業とヘッドハンターの付き合いが長いほど、細かくサポートをしてくれる担当者もいます。
- 連絡役&交渉の代行
⇒面接日のスケジュール調整・給与交渉・就業開始日の交渉・質問・辞退の連絡など、候補者とクライアント企業の間に入って行います。ヘッドハンターを挟むことで、オファー内容が良くなるケースもあります。
話を聞くことのデメリット

- ヘッドハンターのレベルは様々
⇒ヘッドハンターの経験歴や得意分野もさ・ざまであり、また日本市場には日本語が話せない外国人ヘッドハンターが多く、いざ面談しても時間の無駄になることもある。
- ただのアプライ代行作業
⇒ヘッドハンターの持つ情報が、既に市場に出回っているJDのみの場合、電話面談をしても有益な情報は得られず、かつ自分でアプライするのとさほど変わらない・ースもある。
- 個人情報の漏洩
⇒ヘッドハンティング企業を利用して転職活動を・う際に、履歴書・職務経歴書の提出は必須。通常、個人情報は厳密に管理されているが、転職支援企業を偽るケースがないとも言えないため、連絡が来た際には一度、企業の名前をネットで検索してみることをオススメします。
スカウトから内定の流れは!?

- ヘッドハンターからメールまたは電話が来る
- 電話・ビデオ電話・または直接会っての面談スケジュールの調整⇒直接会うケースは稀で、上層部のヘッドハンティングに利用される場合がある
- ヘッドハンターと面談実施
- ヘッドハンターが候補者をクライアント企業へ推薦
- アプライ企業の書類選考通過後、面接がスタート⇒直接会うケースは稀で、上層部のヘッドハンティングに利用される場合がある
- オファーと条件交渉⇒交渉作業もヘッドハンターの仕事のひとつです。
まとめ

納得のいく働き方や仕事内容、給与や役職…と考えだしたら、現職で働きながら転職活動をするのも大変で、ストレスも感じてくると思います。そんな時に、求人情報の共有はもちろん、転職のことを何でも相談できる転職パートナーを作ることが、成功への近道のひとつだと思います。
今すぐに転職を考えていなくても、常に情報収集をして、相性の良い優秀なヘッドハンターを探しておけば、いざ積極的に転職を始めた際にも、幾度も違うヘッドハンターと電話面談で経歴を明かさずとも、効率的に情報収集が可能です。
ヘッドハンティングされる為にも、まずは上記であげた転職サイトやLikedIn、その他のプラットフォームを利用して、自分は転職の情報収集に意欲的であることをアピールすることがポイントです。
今回の記事が少しでも転職に役立てば幸いです。
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